織る前の準備から出荷まで、いくつかの行程を経て生地がつくられます。
ひとつひとつを徹底して丁寧におこない、最高品質の知多木綿を生み出します。
- タテ糸準備
- 荒巻 あらまき
- 生地の種類に応じた原糸(チーズ)をセットし、生地を織るのに必要な長さ(ヤール長)を、荒巻機でビーム(糸巻き形状)に巻きとっていきます。
- サイジング(糊付 のりづけ)
- 生地を織るときの摩擦で糸が切れないよう丈夫にするために、サイジングと呼ばれる糊付けをおこないます。原糸を糊液に浸し、乾燥させ、織機にかけることができる状態の織機ビームに巻き取ったらタテ糸の完成です。長年培ってきた経験をもとに、沢山の布の種類に合わせた糊付け配合をすべてデータ化することで、作業効率と品質の高さを保っています。
- タテ糸準備
- 綜絖 そうこう・経通し へとおし
- 出来上がったタテ糸が運ばれてきたら、織柄や織物の種類に応じた配列で、綜絖(そうこう)・筬(おさ)にタテ糸を1本1本手作業で繋ぎ通し、織機に掛ける準備をします。この工程は自動で出来ない重要な作業です。
織柄や織物の種類に応じた配列で綜絖・筬にタテ糸を1本1本手作業で繋ぎ通されたものを「種糸」と呼び、当社では紅梅・綿絽などの伝統柄と、当社オリジナルの柄を含め200種、2000個以上の種糸を保管しています。
- ヨコ糸準備
- 管巻き くだまき
- ヨコ糸用の糸を空管に巻き付ける行程です。
常時10種類以上の糸を扱い、糸の種類や太さに合わせて糸を巻くテンションを変えています。
- 機掛け はたかけ
- 昔ながらのシャットル織機に糸を掛け、丁寧に柔らかく織り上げていきます。
- 製織 せいしょく
- 上下に交差するタテ糸に、ヨコ糸がセットされたシャットルが行き交うことで製織されます。
「2重ビーム装置」や「3重ビーム装置」で数種のテンションの違う糸を織る技術や、小幅織機に広幅用の「ドビー装置」を搭載し、小幅織物に多彩な柄織を可能にするノウハウは、当社だけのものです。特にからみ装置を持つ小幅織機は日本に十数台しかない大変貴重な織機です。
当社のように、今は製造されていない小幅織機が200台も並ぶ工場は希少です。
熟練した職人の経験を受け継ぎ、時には自ら部品を溶接し、機械を手直ししながら維持しています。
- 折畳み・検反
- 反物状に織り上がった生地は、畳機(たたみき)で必要な長さに 整えながら畳みます。
その後、織り傷や汚れがないか、熟練の手の感触と、目視により、生地を一枚一枚丹念にめくりながら検反し、仕上がりを見極めます。検反後の生地は検反者が責任を持って、品質を証明するため生地端に名前を記入しています。この検反方法は明治時代から継承しているものです。
- 仕上げ加工
- 和晒 わさらし
- 晒加工には「和晒」と「洋晒」の2種類があり、綿製品のほとんどが自動精錬機で40分ほどの短時間で仕上げる洋晒を取り入れていますが、生地がややペタッと仕上がります。一方、日本の昔ながらの和晒は釜に詰めた生地を、緩やかな水流で2~3日もの時間をかけてゆっくりと炊きあげるので生地にストレスが掛かることなく、綿製品本来の柔らかで、吸水性と通気性の高い晒に仕上がります。
- 出荷
- 晒屋さんでシリンダー乾燥、またはシルケット加工を終えた生地は、ヤールタタミ機で用途に合わせて70cm~155cmの長さに畳まれ、出荷されます。